オリーブオイルの歴史
果実を搾るだけで作れるオリーブオイルは、人間が最初に手に入れたオイルです。
原産地とされているのはトルコ南部の地中海に面した地域で、もともとは地中海の東、トルコの東南からアフリカの東北沿岸にかけて、ごく一部の地域に自生していたと考えられています。すでに6000年前のクレタ、キプロス、シリアで盛んにオリーブオイルが生産されていたことが記録に残っています。
地中海の東部で始まったオリーブ栽培を西へ伝えたのはフェニキア人で、ギリシャ本土・ゴール地方(現在の南フランス)・イタリア半島からシチリア・南スペインへと伝えられました。
現在のように地中海全域でオリーブが栽培されるようになったきっかけはローマ帝国(紀元前3世紀)で、人口100万都市の規模を誇っていたローマの都では、食用・灯火・化粧品など生活のあらゆる場面でオリーブオイルが使われていました。そこで有力貴族たちは広大なオリーブ農園を経営し、オイルをローマに運びました。それにより地中海全域でオリーブが盛んに栽培されているようです。
また、オリーブは世界各地で神話が伝えられていて、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教など多くの宗教で聖なる油として大切に扱われています。
イタリアでは数十年前まで、年末には1年分のオリーブオイルをまとめて買うための特別手当を支給する会社があったそうです。